下田 ‐ 建築史研究室

筑波大学 世界遺産専攻 下田一太研究室のブログです

煉瓦積みの中に確認された砂岩板による補強

サンボープレイクック遺跡群の北寺院主祠堂の修復工事を進めています。
7世紀に建立されたと考えられている煉瓦造の遺構で,数年前から修復を続けていますが,今年度末の完成を目指して急ピッチでの作業です。

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写真の足場上方にブルーシートをかけた作業場では,建物上面で緩んでいる煉瓦層を部分的に解体し,それらを再設置して強化する処置が進められていますが,この作業において,砂岩板が補強のために挟み込まれていることが確認されました。

こうした砂岩板が挟み込まれている例は,クメール建築の煉瓦造遺構では他にも例があり,このサンボープレイクック遺跡群でも大型の祠堂では認められますし,アンコール遺跡群でもロリュオスのプレア・コー寺院などで見られます。
ただ,この祠堂で特徴的だったのは,外壁に対して斜めに砂岩板を配置していたという点です。
たしかに,同じ大きさの砂岩板を建物の隅部に設置するのであれば,この方が有利であろうと想像できますが,こうした設置の仕方に当時の工人たちはなんとなく気持ち悪さを感じなかったのかと,疑問に思ったりもします。

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その他にも,今回の修復工事では建物上部の煉瓦積みの中に,見えない小スペースを扉開口部の上方に設けて,空隙をとって荷重を分散させる仕組みが発見されるなど,工事をしてみて初めて分かった事実も少なくありません。
面白いものです。

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この祠堂が立つテラスの周辺では発掘調査を進めており,できれば今年末までには四周全ての堆積土砂のクリアランスを終えたいと考えていますが,果たして間に合うかどうか。。。作業を効率化するための方法を検討しています。

修復工事とテラスの整備が終われば,この寺院の中心エリアが見違えるようになるだろう!と期待しています。
今年度が最後になる科研調査の最後に,遺跡へのお返しをこうした形でできればと思っています。

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