下田 ‐ 建築史研究室

筑波大学 世界遺産専攻 下田一太研究室のブログです

建築遺産演習 in ミャンマー(その1)

7月21日より30日にかけて世界遺産専攻修士1年生を対象とした建築遺産演習をミャンマーにて行いました。
ミャンマーにおける文化遺産の研究や保存管理について,ミャンマー文化省の専門家他からの案内をいただきつつ,ヤンゴン,ピュー遺跡,バガン遺跡を巡りました。
これより数回にわたり,学生の日誌を通じて,演習の様子を紹介します。


〈7月22日〉
今回の建築遺産演習初日は、ミャンマーの中心的な都市であるヤンゴンにてシュエダゴンパゴダやスーレーパゴダといった寺院見学や、ヤンゴン近代建築の見学、またミャンマーJICA事務所の方々にミャンマーでの活動をお伺いするなど、大変濃い初日を過ごすことができました。
最初に、ヤンゴンの観光としては多くの人が足を運ぶであろうシュエダゴンパゴダに向かいました。到着してはじめに目を引いたのは、大きな門と入り口からストゥーパがある中心とをつなぐ緑の屋根の回廊です。ストゥーパのある階まで上るのにエレベーターを使用して上ったのもすごく印象的でした。(このことからもいかに本寺院が大規模であることかも想像できるかと思います)

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ミャンマーにおいては多くの寺院では裸足であることが決められていることから、私達も入り口から裸足で参拝しました。平日の午前であるにも関わらず、老若男女問わず多くの地元の人々が参拝に来ていました。それと同時に、ブラシやバケツを持った方々が床を磨いているのも印象的でした。(信仰心によるものであるのか、業務としての掃除であったのかをアヤさんに聞けばよかったと後悔しております)
シュエダゴンパゴダを中心として、一週間の曜日別の小さな仏塔がその周囲を囲んでおり、ミャンマーの人達は誕生日から曜日を計算して(スマートフォンに専用のアプリ有)各自の曜日を参拝していたのはとても興味深かったです。各曜日にはそのシンボルの動物があり、日本でいう干支占いのような印象を受けました。

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また、パゴダ内には子沢山にゆかりのある仏様や薬の仏様、またイギリスの支配下にあった際にイギリス兵が盗もうとしたが川に落ち、その後ミャンマーの人によってパゴダに納められた、という鐘(マハーガンダの鐘)が奉られておりました。
昔、本シュエダゴンパゴダには王や王妃が自身の体重分の金を納めた、という話がありましたが今日に至っても金箔を納めたり、また花や果物といったお供え物を持って参拝する人々、熱心に祈りをささげる人々を見ると、ミャンマーにおける仏教に対する深い信仰は今日においても引き継がれているなど感じました。

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お昼はアヤさんに案内して頂き、初めてのミャンマー料理を楽しみました。辛いものもありましたが、みんなでおいしく頂くことができました。

 午後はヤンゴンヘリテージトラストの方にヤンゴン市内の近代建築(植民地時代にイギリスなどによって建てられた建築物)の案内をして頂きました。植民地時代の面影が残る建物、またキリスト教やヒンドゥー教の寺院などの多様な建築が残り、一時期は東南アジアで最も多様かつ東西の文化が反映された都市であったといわれる一方で、長年における軍事政権の下これらの建築物の多くは注目を浴びることなく、適切な保存もされず保全状況としては危機に瀕しています。2011年以降、少しずつ民主化や経済改革が進められている一方で、急な都市計画・発展によってこれら近代建築は新たな危機に直面しています。この様な背景から、2012年にヤンゴンヘリテージトラストが結成され現在は10数名の職員が働いており、ミャンマー政府と連携して都市計画や政策、法整備に関する提言を行っているとのことです。ミャンマーにおいては現在都市計画法などもなく、一からの取組みであり、現在は建物の目録などを行っている最中とのことでした。ミャンマーの一般市民の方々の意識としてこの様な建築物に対する意識はどのようなものかと質問したところ、2011年以降の急な民主化・経済改革が行われた今は、多くの人がシンガポールやタイといったアセアンの優等生組(経済発展が行われて豊かな国)に追いつきたいという考えが強く、都市化を計りたいこと、また保全するよりも新しくコンクリートの建物を建てるほうが安いということなどから、現存している建物への意識は低いとのことでした。ガイドツアーは1時間半ほどでしたが、町を歩きながら建物に関して様々な説明を聞くことができて有意義でした。

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続いて向かったのはスーレーパゴダというヤンゴン市内(シティホール近く)のパゴダの見学に行きました。午前中のシュレダゴンパゴダよりは小規模ではありましたが、それでも参拝に来ている方は多かったです。こちらもシュエダゴン同様に中心のストゥーパがあり、その周囲を曜日別で小さなストゥーパが囲んでいました。本パゴダで印象に残ったのは金箔を供えた際に、小さな船みたいなものに乗せて運んだことです。


 初日の最後は、ミャンマーのJICA事務所にて現在の日本とミャンマーとの協力についてお話をお伺いすることができました。我が国の協力の方針としては、大きく「国民の生活向上・人材育成や制度整備・持続的経済成長」という3点からインフラ整備や人材育成を中心として多岐に渡る支援を行っていることを知ることができました。私達の事前学習で学んだパガンでの地域観光開発もJICAの観光分野としての協力事業であり、シニアによるボランティア事業として文化財保護についての取組みをヤンゴン国立博物館でも行っていることから、今後も二カ国間での文化ないし文化遺産や観光面での継続かつ積極的な協力が期待できるのではないかと思います。

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初日の最後として、在ミャンマー大使館の松岡さん・新倉さんと供に夕食をご一緒しながら、大使館でのお仕事やミャンマーについて色々なお話を伺いました。

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振り返ってみると、初日にして寺院やヤンゴン市内の見学など大変充実した1日であったと感じました。

平田里沙

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