下田 ‐ 建築史研究室

筑波大学 世界遺産専攻 下田一太研究室のブログです

カンボジア学生レポート(1)

筑波大学世界遺産専攻M1の菅澤です。
7月28日~8月11日の二週間、カンボジアにて遺跡の調査に参加させていただきました。
前半はコンポン・トム州のサンボー・プレイ・クック遺跡において3D測量調査を行いました。後半はシェムリアップ州にてアンコール・トムのバイヨン寺院における遺跡保存調査のため、作業補助を行いました。

調査の前半にサンボー・プレイ・クック遺跡で行った測量は、3次元レーザースキャナを用いた3D測量です。360度全方向にレーザーを照射してデータを取ることで、地形や対象物を3Dデータにすることができます。一般の平面的な測量図とは違い、パソコン上で処理を行ったデータを見ると立体的で、更にデータを拡大・回転することも可能なので、様々な方向から対象物の詳細な様子を確認することができます。

今回調査に参加した世界遺産専攻の学生二名は3D測量を行うのは初めてでしたが、贅沢なことに、機械の操作練習を世界遺産アンコール・ワットでさせていただきました。

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アンコール・ワットで練習を積み、30日からサンボー・プレイ・クック遺跡において実際の測量を行いました。サンボー・プレイ・クック遺跡はアンコール遺跡よりも古い時代の遺跡であるとされており、現在ユネスコ世界遺産の登録を目指している遺跡です。
今回は、まだ調査が行われていない大規模なマウンド状の遺跡の現状地形記録のために3D測量を行いました。時期的に雑草が多かったため詳細なデータは別時期に再度計測する必要があるかもしれませんが、ひとまず今回のメイン調査の一つを無事終えることができました。今後、今回とったデータの処理を行っていく予定です。

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(サンボー・プレイ・クック遺跡での測量)

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調査の後半は、アンコール・トムのバイヨン寺院中央塔にて修復・保護に携わっておられる先生方の作業補助などを行いました。
はじめに中央塔上部の石材にナンバリングを行い石材と番号が対応できる表を作成しました。この表に剥離及び亀裂の有無・強度・含水率を測定したデータを記録し、グラフなどを作成していきます。また、石材の膨張収縮を測定する機器や目地の開きを測定する機器の設置をお手伝いしました。

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(石材のナンバリング)

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(測定器の設置)

中央塔での作業と同時並行で、外回廊の修理に用いる砂岩の破断実験の補助もさせていただきました。砂岩は何個か用意され、本数や長さが違うステンレスピンが補強のために埋め込まれています。その砂岩に負荷をかけていって割れるまでのデータを計測し、修理に用いる際の参考にしていくそうです。

私は今回が初めての海外調査でしたが、世界遺産保護の現場ではどのようなことが行われ、どのような人々が携わっているのかということを肌で感じることができました。授業で話を聞くだけではわからない複雑な問題の多さや厳しい現状も目の当たりにし、まさに百聞は一見に如かずという言葉がぴったりな2週間でした。
今回の調査で見たこと・聞いたこと・作業したことは、私にとってとても貴重な経験となりました。この充実した日々を、今後の自身の勉強の糧にしていきたいと思います。
2週間お世話になった現地スタッフの皆さんや先生方に感謝いたします。

(文責:世界遺産専攻M1 菅澤由希)

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