下田 ‐ 建築史研究室

筑波大学 世界遺産専攻 下田一太研究室のブログです

サンボー・プレイ・クック遺跡での広域発掘調査

アンコール・トム内の貯水池ベン・トムでのコアリング調査に引き続き,サンボー・プレイ・クック遺跡群の都城区内における文化層の広がりを広域に把握するための発掘調査を行いました。

サンボー・プレイ・クック遺跡群では、19世紀末の遺跡群の再発見から数多くの考古学的発掘調査行われてきましたが、その大半は建造物や遺構が地表に数多く残されている寺院群区を対象にしたものでした。しかし古代の都市構造を解明するためには寺院群区だけではなく都城区内の調査が不可欠です。当時の都市内の建造物は多くが木造であったと考えられるため、埋没している遺構や遺物についての考古学的調査を今後さらに進めていかなければなりません。そのための予備調査として発掘調査を行いました。

今回の調査では、都城区内において300メートル間隔で約20地点にトレンチを設定し、土層の堆積状況を確認する予定でしたが,過酷な暑さと離れた調査地点を回っていく移動もあり,すべての計画地点を終了するには至りませんでした。それでも14地点で調査を終えることができました。

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トレンチ配置図
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遺物が確認された文化層および自然堆積の砂層の厚みはトレンチごとに異なっており、今後詳細な分析を行っていく予定です。また、粒度等の分析のためにすべてのトレンチで砂のサンプリングを行いました。

出土遺物は土器片をはじめ、レンガ、瓦、わずかな炭化物、および多数のラテライト片とノジュール等が出土しました。サンボー・プレイ・クック遺跡群におけるプレ・アンコール期の土器編年は確立されておらず、出土遺物の年代を推定することは現時点では困難ですが、今後、遺物の整理・報告および炭化物の年代測定などを行っていく予定です。

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コア・サンプリングの様子
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出土遺物
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コアの整理分析
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遺物の整理記録

今回の調査は炎天下での作業が多く体力的に厳しいものでしたが、カンボジアのおいしい食事や美しい自然に救われ、現地の方々の御協力もあり、充実した日々を送ることができました。調査の結果が、サンボー・プレイ・クック遺跡群における長期的な発掘調査計画や、適切な遺跡整備計画の策定に貢献することを期待します。

なお、今回の調査では終えることができなかった7地点については4月に追調査を予定しています。

(報告:菅澤 由希 M2)

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