下田 ‐ 建築史研究室

筑波大学 世界遺産専攻 下田一太研究室のブログです

プレアヴィヘア遺跡調査

2月後半から3月初めにかけてカンボジアにてプレア・ヴィヘア遺跡,サンボー・プレイ・クック遺跡の調査を行いました。
プレア・ヴィヘア遺跡では名城大学溝口教授を中心とした研究グループにて建築学的調査が進められていますが,今回は奈良文化財研究所との合同で考古学的発掘調査が行われました。

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第三ゴープラと寺院最奥の施設脇でトレンチを設け,基壇足元の構造を確認しました。
今回は予察的な小規模調査でしたが,発掘調査ならではの連鎖的な課題への第一歩となる切り口が認められ,今後の調査への期待が高まります。今乾季中に追加調査が予定されています。
その他,伽藍全域の平面図作成の最終測量や,石材の化学組成分析などが各研究メンバーによって進められました。

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サンボー・プレイ・クック遺跡ではプラサート・サンボー寺院主祠堂となる煉瓦造遺構の修復工事の進捗状況を確認しました。現在,東立面の再構築工事の最終段階となり,残るは煉瓦積み最上面への新材を伴うキャッピングの工事,階段側壁の石板や煉瓦積みの再構築を残すのみです。

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ただ,修復工事によって基壇部分に漆喰装飾が一部残存していることが明らかとなり,これらの崩落防止,強化処置が技術的に難易度の高い課題として残されています。

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まずは,東立面の修復工事を今年7月をめどに完成することを目的とし,その後さらに南面,西面と工事を進めていく予定で,祠堂全体の工事完成にはまだまだ遠い道のりです。

また,遺跡群手前にはアジア開発銀行からの支援にもとづきチケットセンター,駐車場,クラフトマーケット,レストランの施設工事が進みつつあります。チケットセンターには,今後インフォメーション・センターを併設する予定で,展示パネル等の準備に取り掛かる予定です。こちらも今年中には完成の見込みです。

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カンボジア渡航期間中にプノンペンでコー・ケー遺跡群の研究ワークショップが開催されました。コー・ケー遺跡群では2007年より2010年にかけて,まとまった建築・考古学調査を行っていましたので,それらの研究成果の一部をワークショップで報告しました。海外研究者の発表もありましたが,主にカンボジア人研究者や学生への情報共有が目的であったため,多くの地元学生が参加しました。また,あわせて遺跡紹介のショートムービーの制作も行われました。

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コー・ケー遺跡群では,現在ハンガリー調査隊がアプサラ機構と共同で研究を進めている他,航空測量データに基づくオーストラリアの研究も実施されています。
遺跡群内の整備も進み,一大伽藍であるプラサート・トムのピラミッド寺院には新たに昇降用の階段も設置され,今後さらにこの遺跡群まで足を伸ばす観光客も増えていくことが予想されます。

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